わかりやすい!交通事故③弁護士に頼むと示談金額は上がるのですか?

示談交渉に対して被害者側に弁護士が関与することで,交通事故において支払われる示談金額にどのような変化が生じるのでしょうか?

保険会社は裁判所の基準よりも低い損害額を提示してくることが多く,交渉は裁判所基準よりも低いラインからスタートするのが一般的です。

※もっとも保険会社も案件の性質やその他の事情によっては裁判所基準ないし裁判所基準に近いラインで示談提示をする場合もあります。保険会社の提示が裁判所基準と比べてどの程度の水準にあるのか,裁判所基準をよく知る弁護士に一度相談した方がよいでしょう。

 

被害者から依頼を受けた弁護士は,被害者の代理人として,保険会社の基準によって低く算定された賠償額を,裁判所の基準によって算定される適切な賠償額に近づけるために最善の努力を尽くします。

弁護士は訴訟代理権を付与され,依頼者に代わって訴訟を提起し,裁判所の考える適切な示談金額を支払えという命令(判決)を裁判所に出してもらうことができます。

※実際には訴訟は加害者相手に提起し,加害者に対して判決が下されます。しかし,裁判所が加害者に支払いを命じた損害額を損害保険会社は保険契約にしたがい加害者に支払わなければなりません。したがって,実質的に保険会社も裁判所の判決に拘束されるのです。

 

したがって,弁護士は最終的に訴訟を提起し裁判所に適切な示談金額を支払えという内容の強制的な支払命令(判決)を出させることができます。

また,弁護士は被害者に対して訴訟を提起し裁判所に判決を出させることがあるので,交渉に弁護士が介入すると,保険会社に対して訴訟が現実化するという心理的圧迫を生じさせる場合があります。

保険会社は,訴訟を起こされたら最終的に裁判所が命じる金額を支払わなければなりません。そこで保険会社は弁護士が介入すると訴訟前の示談の段階でも態度を軟化させることがあります。

逆に言えば,弁護士が交渉に介入しなければ,保険会社は訴訟を起こされるという現実的な心理的圧迫を受けないため,任意交渉においては,かなり粘り強く交渉をしないとなかなか示談金額をあげてくれなかったり,増額幅も小さな金額に留まるケースも存在するのが現状です。

このような制度構造を背景として,弁護士は交通事故示談交渉において,被害者の皆様が適切な示談金額を受け取っていただけるよう最善の努力を尽くさせていただきます。