刑事訴訟における再審

刑事訴訟の再審事由

第1に再審は、原判決の証拠となった証拠書類、又は証拠物が確定判決により偽造又は変造であったことが証明されたときに申し立てることができます(刑事訴訟法435条1号)。すなわち、再審の申立前に、証拠書類あるいは証拠物の偽造、変造が訴訟手続きによって確定している必要があることになります。


第2に、原判決の証拠となった証言、鑑定、通訳、翻訳が確定判決により虚偽であると証明された場合も再審事由となります(同条2号)。


第3に、有罪判決を受けた罪について、誣告罪(ぶこくざい)の有罪判決を受けた者がいる場合再審事由となります(同条3号)。誣告罪は現在の虚偽告訴罪(172条)等を指します。いわば、実態のない犯罪事実で告訴をしたことが、明らかになった場合を指します。


第4に、原判決が他の判決を証拠としていた場合に、他の判決が確定裁判により変更された場合、再審事由となります(同条4号)。


第5に、特許権等特定の知的財産権(特許庁が出願登録により権利を付与するタイプの知的財産権)を侵害したとして有罪とされた裁判については、権利付与が無効であった場合、再審事由となります(同条5号)。


第6に、有罪を覆すか、軽くする明らかな証拠をあらたに発見したとき、再審事由となります(同条6号)。ここでいう証拠とは、従前と異なる同一人の供述や、従前とは結論を異にする鑑定結果などを言います。罪を軽くするという文言は、法定刑を違える場合を指しています。したがって、量刑上有利に扱われる証拠を新たに発見した場合は、再審事由に該当しないことに注意が必要です。


第7に、原判決に関与した裁判官、検察官、検察事務官、司法警察職員が職務上の罪を犯したことが確定判決により証明されたとき、再審事由となります(同条7号)。

再審の管轄裁判所、請求権者

再審の請求は、原判決をした裁判所がこれを管轄することになります(刑事訴訟法438条)。再審請求は、検察官、有罪の言い渡しを受けた者(有罪判決を言い渡した刑事訴訟において被告人であった者)、被告人の法定代理人等が申し立てることができます(同法439条1項各号)。