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刑法各論:論点集:文書偽造の罪(刑法第17章)

文書偽造の罪(刑法第17章)

①文書:「文書」(刑法154条~159条)とは、①文字その他可視的方法を用い、②ある程度永続すべき状態において、③特定人の意思または観念を表示した物体をさす。※なお、この場合の特定人は実在の人物でなくとも、よい。

②偽造:文書偽造の保護法益は、文書一般に対する公共の信用である。そして、文書一般に対する公共の信用は、作成名義人の真正に向けられる。したがって、「偽造し」(刑法154条、155条、159条)とは、文書の作成名義人でない者が、文書を作成することをいうと解する。

③文書の作成:文書の作成とは、実際に文書を作成する行為ではなく、自らの意思、観念を文書に反映させる行為を指す。

④コピー:例えば、友人の卒業証書に自己の名前を貼付し、コピーをとった場合、「文書」を「偽造し」(刑法155条、159条)た、といえるのか。文書偽造罪は、文書一般に対する公共の信用を保護する。よって「文書」には、写しであっても原本と同一の意識内容を有し、同様の社会的機能と信用性を有するもが含まれる。したがって、原本の写真コピーは、「文書」に該当する。そして、写真コピーは原本の実在を投影する書面として、原本と同様の社会的機能を果たすから、写真コピーの名義人は原本の名義人と考えるべきである。したがって、コピーをとった行為は、「偽造し」た、行為に当たる。※写真コピーに印章、署名が複写されている場合、「印章若しくは署名を使用し」に該当する(以上、最判昭51年4月30日参照)。

⑤ファックス:例えば、友人の卒業証書に自己の氏名を貼付し、ファックスで送信した場合、「文書」を「偽造し」(刑法155条、159条)た、といえるか。ファックスは、送受信の機能とともに、文書の複写機能も有し、印字された書面は、原本の存在を指し示す形で、原本と同様の社会的機能と信用性を有する。したがって、「文書」に該当し、ファックス送信者は、「文書」を「偽造し」た、にあたる(以上広島高裁岡山支部判例平成8年5月22日参照)。

⑥代理人名義:代理人名義の文書については、文書に対する公共の信用が本人の意思、観念を表示している点に向けられることから、本人を名義人と捉えるべきである。したがって、本人自らの意思、観念が文書に反映していない場合、作成者は、「偽造し」た者にあたる。

⑦通称名:作成人が、自己の通称名を表示した文書を作成する行為は、「偽造」に該当するか。事柄の性質上、本名を用いて文書を作成することが求められている場合、文書一般に対する公共の信用を害するから、「偽造」に該当すると考える。

⑧肩書き冒用:たとえば、Aが、弁護士Aを表示した文書を作成する行為は、「偽造」に該当するか。当該文書に表示される名義人は、弁護士たるAである。したがって、弁護したるAとは別人であるAが、本文書を作成する行為は、「偽造」に該当する。

⑨名義人の承諾:名義人の承諾があっても、名義人以外のものが作成することが許されない文書について、名義人以外が文書を作成する行為は、「偽造」にあたる(最決昭56年4月8日参照)。そして、承諾をなした名義人も、「共同して犯罪を実行した者」(刑法60条)に該当する(東京地判平成10年8月19日)。

⑩虚偽公文書作成罪の私人(+権限なき公務員)による間接正犯:身分のない者であっても、身分のある者を道具として法益を侵害した場合、(間接)正犯と評しうる。したがって、私人が公務員を道具として内容虚偽の公文書を作成させる行為は、「公務員が、その職務に関し…虚偽の文書…を作成し…たとき」(刑法156条)に該当するものとも考えられる。もっとも、その行為が同時に157条各項の構成要件に該当するときは、比較的軽い法定刑が課される。これは、間接正犯が私人である虚偽公文書作成は、窓口での申し立てに基づく場合のみを処罰する趣旨と解される。したがって、私人が公務員を道具として内容虚偽の公文書を作成させる行為は、156条の構成要件から除かれていると解すべきである。

⑪虚偽公文書作成罪の補助公務員による間接正犯:作成権限者たる公務員を補佐して公文書の起案を担当する職員が、作成権限者を道具として虚偽公文書を作成させる行為は、「公務員が、その職務に関し…虚偽の文書…を作成」(刑法156条)に当たる(最判昭和32年10月4日)。

⑫事実上作成権限を有する公務員は公文書偽造の主体となりうるか:公文書偽造罪は、名義人と作成人がともに権限ある公務員であることを保護する。よって、作成権限を有する公務員が公文書を作成する行為は「偽造し」、に該当し得ない。では、法律上は作成権限を有さないが、事実上作成権限を有している事務補助者の公文書作成行為も、「偽造」に該当しないのか。この点、内容を確保するなどの一定の条件に従う限度において、事務補助者にも作成権限が認められ、「偽造」に該当し得ない。しかし、条件に従わない場合は作成権限を認められず、「偽造」に当たりうる。

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