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刑法各論:論点:自殺関与罪・同意殺人罪

自殺関与罪・同意殺人罪

・自殺関与罪

①自殺関与罪:人の自殺を教唆し、または幇助したものは、自殺関与罪として処断される(202条)。この処罰根拠については、他人の生命の否定に積極的に関与する行為に独自の違法性を見出し、処罰する点にあると考える。
注1)自殺自体に違法を観念して、自殺者を正犯とする共犯処罰の類型とする見解もある。しかし、違法性は法益侵害を惹起する社会通念上相当性を欠いた行為に観念できるところ、自己の生命を自己で処分する行為に、社会通念上の相当性を欠くとまでの評価は、現在与えられていない。

②自殺関与罪の実行着手:自殺関与罪を独立の処罰類型と解すると、実行の着手は、教唆行為ないし幇助行為の時点で認めるべきとも思われる。しかし、自殺関与罪の保護法益は、自殺者の生命であるところ、自殺者が現に自殺行為に出るまでは、生命侵害の危険が現実に惹起されたといえない。したがって、自殺者が自殺行為にでた時点に、教唆ないし幇助に基づく不作為を観念し、この時点で、実行の着手を認めるべきである。

③脅迫による自殺関与罪:脅迫により、瑕疵ある自己の意思に基づいて、自殺を決定した場合は、脅迫者に自殺教唆罪(幇助罪)が成立する。これに対して、意思を完全に抑圧されて、自殺した場合には、殺人罪成立の余地がある。

・同意殺人罪

①同意殺人罪:同意殺人罪は、同意に基づく殺人を処罰する、殺人罪の減刑類型である(202条)。同意が構成要件に類型化されていることから、客観的な同意の存否が、構成要件該当性の段階で作用する。したがって、客観的な被害者の同意の有無により、殺人罪ないし同意殺人罪に振り分けられることになる。この趣旨は、同意に基づくとはいえ、自由な意思決定を行い得ない被害者の生命否定行為に、そのような極限状態にない加害者が加功することに、当罰性を見出しうるものの、被害者が生命を放棄している場合、行為の違法性は類型的軽減するからである。

②錯誤による同意:行為者が同意している場合に、刑が減刑される根拠は、被害者が法益侵害を認諾して入る場合に、行為の違法性が減少する点にある。したがって、被害者の同意がその真意に沿ったものでない限り、違法性の減少に基づく同意殺人罪類型への該当性は肯首し得ない。問題は被害者の同意の存否を判定する基準といえる。この点、死に至る動機に重大な瑕疵があれば、被害者は死を自己決定したといえず、殺人行為に違法性の減少を認めることはできない。したがって、同意に該当するか否かは、錯誤が意思決定に与えた重大性により、被害者が自己の意思で死を決意したといえるか否かによるべきと解する。
注1)これに対して、同意が否定されるのは、被害者に死そのもの意味を錯誤させた場合に限るとする見解もある。たとえば、幼児に死んでも生き返ると教えた場合や、本当は助かる患者に余命2週間と教えた場合である。しかし、被害者の意思決定に基づく同意があるか否かを、死の意味の錯誤に限定して考える合理性は内容に思われる。
注2)追死を信じて死んだ場合、死の意味について錯誤はないが、死の決意にいたる動機に重大な錯誤があり、真実を知れば死を決意しなかったといえる以上、死の決定が自己の意思に基づくとまでは言えない。

③同意殺人罪と抽象的事実の錯誤:同意殺人罪は、同意に基づく殺人を処罰する、殺人罪の減刑類型である(202条)。同意が構成要件に類型化されていることから、客観的な同意の存否が、構成要件該当性の段階で作用する。すなわち、同意の有無と認識が、違法性の段階で同時に判断されるのでなく、同意の客観的存否が先に、同意の認識が後に、一応の先後関係のもとで、判定される。したがって、客観的に同意の存在が認められる以上、構成要件該当性は肯定され、あとは、故意の問題として、同意の認識が問題とされる。この場合、行為者が同意を認識していなければ、抽象的事実の錯誤の問題として、重なり合う軽い罪の同意殺人罪の限度で、犯罪が成立するもの解される。
注1)これに対して、同意による違法性減少が構成要件要素まで昇華されていない場合、実質的違法性の判断段階において、同意の存在とその認識が行為の正当性を論証するかという観点から、同時に判定されることになる。この場合、客観的に同意があっても、認識がなければ、違法性が阻却されない。
注2)反対に、同意がなかったのに、あると誤信した場合、同意殺人の限度でしか規範に直面していないから、客観的には殺人罪の構成要件に該当しても、同意殺人罪の限度処罰されるに過ぎない。これに対して、違法性阻却事由になっている場合も、同意がない以上、違法性は阻却されない。そのかわりに、行為者の誤信した同意の内容が、規範の問題に直面する機会を与えないものと評価できれば、責任故意が阻却されることになる。
注3)ここで重大な問題は、同意の存在が違法性を阻却はしないが減少する中間項として類型化されている場合と、そのような中間段階は予定されず、完全に阻却される場合を非類型的に処理する場合に生じる処理の違いは、不可避である、という点である。

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