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刑法各論:論点:財産犯:財産犯総説

①財産犯の分類:財産犯はまず、毀棄罪と、領得罪にわけられる。領得罪は、占有を移転する奪取罪、占有を移転しない横領罪に分かれる。奪取罪は相手の意思に反する奪取行為たる、窃盗罪、強盗罪と、相手の瑕疵ある意思に基づく占有移転による、詐欺罪及び恐喝罪に分かれる。

②-①財産犯の客体ⅰ-「財物」:財産犯の客体は、「財物」(235条、236条、246条1項、249条1項)「他人の物」(252条、261条)などと表記される。この財物(物)の意義についていかに解するべきだろうか。この点、管理可能であれば刑法上の保護に値する反面、人の労働力や債権など物質性を備えないものは、「物」とはいえない。したがって、物理的に管理可能なものが、「財物」にあたると考える。
注1)電気も物理的に管理可能であり、245条は注意規定である。
注2)反面、235条の2により、不動産が「財物」に含まれないことは明らかである。もっとも、不動産を交付させる行為、強取する行為は当罰的であり、不動産は「財産上不法の利益」に含まれると解する。
注3)情報は管理可能であるが、物質性を備えないので、「財物」に該当しない。しかし、物理的に管理可能と捉える見解もあるようであり、物理的管理可能性説の限界事例であるとともに、物理的管理可能性という概念が、厳密なものでなく、客体を絞る機能概念にすぎないことが伺われる。

②-②財産犯の客体ⅱ-財物の他人性(奪取罪の保護法益):財物も、「他人の」財物、物でなければ、財産犯の客体とはならない。この他人性は、民法上他者に所有権があるか(民法従属説)ではなく、他人に社会観念上尊重すべき経済的利益が存するか否か、という刑法独自の判断により決せられる(独立説)。そして、自己の財物でも「他人が占有…するもの」は他人の財物とみなされる(242条)。したがって、「占有」により「他人性」が肯定されると解釈でき、結局他人性は占有の有無によることになる(これ以外に論理が繋がらない…)。この占有の意義について本権に基づく占有か、単なる所持で足るか争いがある。しかし、本権を確定しなければ処罰できないのは不合理であって、単なる所持で足るというべきである。
注1)他人性を肯定する「占有」について、平穏な占有と解する見解もある。
注2)したがって、不法に財物を所持窃盗犯人の占有は、本権説からは保護に値しないはずだが、本権説は、‘所有者には対抗できないが、第3者には対抗できる占有”という概念を用いて、窃盗の成立を認める。
注3)窃盗犯人からの取り戻しについて、所持説からは構成要件該当性を否定しえず、自救行為として違法性が阻却されるかの問題にある。判例(最決平成1年7月7日など)も同様に解する。

②-③財産犯の客体ⅲ-不法原因給付物:不法原因給付物においては、交付とともに所有権が相手方に反射的に移転するという民事判例がある。したがって、本権説からは、保護に値する本権が存在しないとも言いうる。しかし、所持説からは、相手方の占有を奪っていることに代わりがなく、奪取罪が成立する。
注1)禁制品においても、本権の保護は否定される。しかし、所持説は占有を問題とするから奪取罪は成立しえよう。

③損害:財産犯も損害がなければ成立しない。この「損害」という概念について、全体財産の減少を指す場合と、個別財産の減少を指す場合がありうる。全体財産の現象を指し場合にはさらに、経済的な意味での全体財産の減少か、法的な意味での全体財産の減少か、2つの意味合いに概念を構成することが可能である。背任罪は全体財産の減少を「損害」として要求する。奪取罪は、個別財産の減少を損害とする犯罪と解される。

④不法領得の意思:一時的にものを借用する行為も、落し物を届ける行為も、財産犯の構成要件に該当してしまう。そこで、一時借用を財産犯の構成要件から排するため、ⅰ本権者を排して、所有者として振舞う意思が必要と解される。また、毀棄目的で物を持ち去る行為を領得罪の構成要件から排するために、ⅱ物の経済的用法に従って利用処分する意思が必要と解される。
注1)ただし、ⅰ使用窃盗はそもそも処罰に値する占有侵害がなく、構成要件に該当しないから、構成要件該当性を否定するために不法領得の意思を持ち出すまでもないという見解がある。

 

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