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刑法総論:論点:責任:原因において自由な行為

原因において自由な行為

①責任:違法行為に対して、刑罰を科すには、行為者に対してその行動を非難できることが必要である。その行為を非難できない場合は、国家が刑罰を科す素地を欠く。責任とは、行為者に対する非難可能性をいう。
注1)行為者を非難できない事情がある場合に、刑罰を科しても、国民の不信を招くだけで、一般予防の高い効果はあげられないと考えられる。
注2)非難の対象は、自由意志に基づいて当該行為に出た点に対する行為非難と、そのような行動を選択してしまう人格を形成した、人格形成責任双方にある(人格責任論)。

②責任能力:行為者に対する非難は、行為者が規範の問題を認識し、その認識に従って行動できる場合に初めて肯定できる。したがって、ⅰ.法規範を認識し、ⅱ.自己の行動を制御する能力(責任能力)が、行為者に対する責任非難の前提となる。
注1)法規範を理解出来ずにした行為や、行為を制御できないためにした行為は、非難できない。

③原因において自由な行為:したがって、行為の時点で心神喪失の者の行為は罰しない(39条1項)。また、心神耗弱の者の行為は減刑される(39条2項)。しかし、心神喪失ないし心神耗弱の状態を自ら招いたような場合、行為者の行動を全体として捉えて非難を向けることは、可能であり、妥当である。そこで、この帰結を導く理論構成が問題となる。この点、行為とは行為者の意思による身体の動静であり、一つの意思に貫かれていれば一つの行為と評価しうる。したがって、原因行為と結果行為を併せて一つの行為と捉え、原因行為時に責任能力があれば、「行為」の時点で、非難可能性があったものと解しうる。行為が一つのものと評価できるか否かは、原因行為と結果行為に、故意の連続性があるか否かで、決することができる。また、客観的に原因関係に萌芽した法益侵害の可能性が、結果行為で現実の危険性を有するに至っていることが必要である。
注1)実行行為は、法益侵害の危険が現実化した結果行為の時点に求められる。
注2)故意の連続性および、因果の連続性で一体の行為と評価する以上、心神耗弱状態においても原因において自由な法理の適用は可能であり、かつ、容易とさえいえる。

④故意が連続しない場合:原因行為時の故意と結果行為時の故意が連続しない場合、結果行為に基づく故意犯は、39条1項の適用により不成立とされる。この場合、原因行為の時点の故意が連続する限りで、故意犯を成立させるしかない。たとえば、結果行為時に殺人の故意を有しても、原因行為時に殺人の故意を有さない場合、殺人罪は39条1項により否定される。しかし、原因行為時に暴行の故意を有していたのであれば、連続する暴行の限度で、一体の行為を観念し、傷害致死罪について完全な責任能力を問うことは可能と考える。

⑤原自行為と過失犯:結果行為に故意が認められない場合、すなわち、結果発生の現実的危険性が惹起された時点で、犯罪事実の意味の認識を欠くか、結果発生を認容していなかった場合、故意犯は成立しない。また、結果行為時に故意を有していても、原因行為時に故意を有していない場合も、39条2項により、故意犯は成立しない。この場合、原因行為時を起点とする過失犯の成否が問題となる。
注1)また、結果行為時に過失行為を観念する場合、原因行為時点の不注意による危険の萌芽が結果行為に現実化したといえるのであれば、原因において自由な行為を適用することも可能と思われる。

⑥実行行為着手後の心神喪失・心神耗弱:実行行為着手後に心神喪失・心神耗弱になったとしても、実行行為という評価と並存する一体の行為が観念でき、その開始時に責任能力があれば、完全な責任を問うことが可能である。すなわち、実行行為が一つの意思に貫かれて因果を現実のものにしてれば、原自行為の適用を肯定できる。

⑦二重の故意:原因行為時に、心神喪失、心神耗弱に陥る認識、認容(二重の故意)は、不要である。二重の故意がなくても、原因行為と結果行為に、故意が連続してれば、行為の一体性を肯定し完全な責任能力を問えるからである。
注1)もっとも、因果関係の錯誤は生じるようにも思われる。

 

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