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  1. 行政事件
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法律による行政の原理/行政作用の諸形式

①法律による行政の原理:行政活動は、法律に基づき、法律に従って行わなければならない。これを、法律による行政の原理という。立法作用に基づく行政作用の事前拘束と、司法作用に基づく事後的統制が、行政の専横から国民の人権を保護する。なお、司法作用は個人の具体的な権利義務をその対象とする作用であるが、行政を統制する観点から、主観訴訟の枠組みを超えた、公益の保護を目的とする客観訴訟についての裁定権が与えられる場合がある。

②組織規範・根拠規範・規制規範:ある法律と行政のかかわりに着目して法規を分類するための概念として、組織規範、根拠規範、規制規範の3種類がある。
②-①組織規範:組織規範とは、行政の組織を定める法規範である。法律で定められることが、少なくない。伝統的な法規概念とは、されていない。
②-②根拠規範:行政機関が一定の活動をするために必要とされる、根拠規定を指す。作用法といわれることもある。通常、組織規範と根拠規範は分けて制定されるが、一つの法に両者が混在する場合もある。自衛隊法など。
②-③規制規範:ある行政活動を行う場合の、具体的なやり方を定めた、法である。すなわち、根拠法により具体化された行政活動の、手続を統制する法規である。

③法治主義の3つの内容:法律による行政の原理には、3つの内容が含まれている。すなわち、ⅰ.法律の法規想像力、ⅱ.法律の優位、ⅲ.法律の留保、である。
③-①法規創造力:法律の法規創造力とは、一定の内容を持った法規の定立は、国会の定立する「法律」によらなければならないとする原理をいう。すなわち、法律による行政の原理は、法律を定立する機関と、法律を執行する行政機関とが、分立していなければ成立しないのである。行政が自己を拘束する法規を定立するのでは、法治主義は形骸と化す。
③-②法律の優位:行政は、法律に従わなければならない原則をいう。法律に従わない行政活動は、法律の優位の原則により、無効とされる。違法行為の無効を担保する制度枠組みが、行政不服審査であり、行政訴訟である。
③-③法律の留保:法律の留保原則は、ある行政活動を行うには、法律の根拠を必要とする原理である。通説および行政実務は、行政作用の区分に侵害行政の概念を使い、侵害行政に当たる行為については、法律の留保原則が妥当すると解する。これに対して、すべての行政作用に法律の根拠を要するとする、全部留保説もあるが、すべての事項について、法律の根拠を要するとすれば、柔軟な行政活動が阻害されてしまう。そこで、権力的行政活動という区分概念を創出し、権力的行政活動には法律の留保原則が妥当するととく見解や、行政を重要事項と、そうでない事項に区分し、重要事項について、法律の留保を要求する重要事項留保説もある。
注1)法律の留保と法律の優位の関係を考察すると、ⅰ.侵害行政ついては、法律の根拠が必要であり、法律の範囲で行われた行政活動が、法律に反した場合は、法律の優位により、当該行政活動が違法、無効とされる。これに対して、ⅱ侵害行政以外については、法律の根拠は不要である。この場合、Ⅰ法律の根拠無く行政活動が行われた場合、法律の優位も問題とはならない。しかし、Ⅱ法律が策定されている場合は、法律の留保原則の適用がなくとも、法律の優位の原則は適用され、違法行為は、無効とされる。このように、侵害留保説によりつつ、侵害行政以外の行政作用にも法律を定立して、法律の優位原則による統制を行うことも考えられる。
③-③-①法律の留保と組織法:侵害行政の根拠法規として、組織法を根拠とできるかが、問題となる。最高裁判所は、一斉検問について、組織法たる警察法を根拠規範にできるとした。
③-③-②緊急行為:侵害行政に当たる以上、たとえば法益保護の緊急の要請がある場合も、法律の根拠が必要だろうか。たとえば、ヨット係留のための鉄杭が、航行上危険を生じている場合に、法律の根拠無く、鉄杭を撤去する行為が、適法とされないだろうか。この点、判例(最判平成3年3月8日-浦安ヨット事件)は、法律の根拠無く行った強制撤去自体は、違法としながら、民法720条の法意に照らし、公金支出の違法性までを導くものではないとした。すなわち、法律の留保違反が行為の違法を導くが、損害賠償請求権発生させる違法とはまた別意に解する(違法の相対性を認めているとも読める)としている。
③-③-③情報提供:情報提供行為は侵害行政といえない以上、法律の根拠無く行えると解される。なお、食中毒の原因と目される食材に関する情報提供を行うにあたり、行政が法律の根拠無く情報提供を行えるか問題となり、法律の根拠無く情報提供をできるとした判例がある(東京高判平成15年5月21日-カイワレ大根事件)。

④行政作用の諸形式:行政作用をその有する作用の性質に応じて、分類するのが、行政作用論である。第一に、抽象的な規範、指針の定立作用がある。これは、定立した規範が法規範として作用し、それゆえに、ある行為規範が、他の者の行為規範と連動する形を採ることが多い、ⅰ.行政立法と、定立した指針が、事実上のものにとどまり、したがって、他の者の行為規範と連動していないであろう、ⅱ.行政計画に分けて捉えられる。第二に、法律の執行として、権力的行為であり、かつ、その行為に法律上一定の法効果が付与されているⅰ.行政行為と、そのような法的効果を実現する事実行為たる、ⅱ.行政強制(行政罰を含む、行政上の義務履行確保)が挙げられる。両者は、ワンセットでひとつの義務の具体化と実現を志向する。第三に、法効果性を認められない、ⅰ.行政指導および、権力性が認められない、ⅱ.行政契約がある。最後に、いずれの行為にも先行するⅰ.行政調査という、行為類型も観念されている。

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