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漂着したシロナガスクジラと法的取扱

神奈川県由比ヶ浜に、日本で初めてシロナガスクジラが漂着し、平成30年8月6日午後に撤去収容されました。

こうした大型海生哺乳類の漂着は、法律上どのような取り扱いになるのでしょうか。

今回のケースのように明らかに所有者がいない動物の死体を発見した場合、動物の愛護及び管理に関する法律は動物の死体を発見した者は、速やかに都道府県知事等に通報するように努めなければならないと定めています。

通報をうけた、都道府県等は、動物の死体を収容しなければなりません。

(負傷動物等の発見者の通報措置)
動物の愛護及び管理に関する法律第36条

1 道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にかかり、若しくは負傷した犬、猫等の動物又は犬、猫等の動物の死体を発見した者は、速やかに、その所有者が判明しているときは所有者に、その所有者が判明しないときは都道府県知事等に通報するように努めなければならない。

2 都道府県等は、前項の規定による通報があつたときは、その動物又はその動物の死体を収容しなければならない。

3 前条第七項の規定は、前項の規定により動物を収容する場合に準用する。

動物の愛護及び管理に関する法律第35条7項

環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、第一項本文の規定により引き取る場合の措置に関し必要な事項を定めることができる。

また廃棄物の処理及び清掃に関する法律は、動物の死体を「廃棄物」と規定しています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律第2条1項

この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

以上の規定から、基本的に漂着生物は、都道府県が収容し、廃棄物として処理しなければならいことになります。

ただし、今回のような漂着鯨類は研究価値、標本価値があります。そうすると、引き取りたいという人がいる場合、「不要物」という「廃棄物」の要件を満たさず「処理」の対象ともならないと思料されます。

実際にも、漂着したシロナガスクジラは、標本的価値、研究価値があり、国立の研究機関が引き取りを希望しました。

さらに、不要物であるか否かを問わず、民法上は漂着したシロナガスクジラは動産ということになります。民法85条は、「この法律において「物」とは、有体物をいう」と定め、民法86条1項は、「土地及びその定着物は、不動産とする」とし、同2項は、「不動産以外の物は、すべて動産とする」と定めます。

では、漂着したシロナガスクジラの所有権は誰に帰属するのでしょうか。

このとき、民法239条1項は、無主物の動産について、下記のとおり定めます。

民法第239条1項 所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。

このように、無主物動産は、はじめて所有の意思をもって占有した者が所有権を取得します。

今回のケースでは研究価値を感じた国立科学博物館が初めて「所有の意思をもって」引き取り、占有を開始したことになるため同館が所有者となるものと思料されます。また、発見者や、都道府県は収容などに関係していて仮に占有をしていても「所有の意思」がないため、所有者にならず、初めて所有の意思を持って都道府県等から占有を移転され占有を開始した研究機関が原始的に所有権を取得するものと考えられます。

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