交通事故物的損害の短期消滅時効の起算

民法724条1号は、不法行為の損害賠償請求権について3年の短期消滅時効を定めています。

不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。

民法724条

交通事故の物的損害賠償請求権の短期消滅時効は、いつからスタートするかが問題になった事案があります。

高等裁判所は、人身傷害(被害者の体のケガ)と同様に症状固定時(被害者のケガの治療が終了したとき)から短期消滅時効を起算すると判断しました。

原審は,上記事実関係等の下において,要旨次のとおり判断して,上告人の 短期消滅時効の抗弁を排斥し,本件車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠 償請求を含めて被上告人の請求を一部認容すべきものとした。 同一の交通事故により被害者に身体傷害及び車両損傷を理由とする各損害が生じ た場合,被害者の加害者に対する車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償 請求権の短期消滅時効は,被害者が,加害者に加え,当該交通事故による損害の全 体を知った時から進行するものと解するのが相当である。

最高裁判所令和3年11月2日判決・裁判所ウェブサイト

ところが最高裁判所は、高等裁判所の判断を見直し、交通事故の物的損害賠償請求権の短期消滅時効は、車両の損害と加害者がどこの誰か、両方がわかった時から、短期消滅時効を起算すると判断しました。

つまり、体のケガとは異なる時期から時効が進行することになります。体のケガの治療が長引いたケースでは物的損害の時効の問題が生じないか注意が必要です!

交通事故の被害者の加害者に対する車両損傷を理由とする不法行為に基づく 損害賠償請求権の短期消滅時効は,同一の交通事故により同一の被害者に身体傷害 を理由とする損害が生じた場合であっても,被害者が,加害者に加え,上記車両損 傷を理由とする損害を知った時から進行するものと解するのが相当である。

最高裁判所令和3年11月2日判決・裁判所ウェブサイト

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