前島密の時代の通信の秘密?

現在のNTTやKDDIが民営化される前の前身が公共企業体だったように、電気通信事業は、我が国では公共事業として発展してきた歴史があります。

この通信事業を国営、公営とするべきという発想は、郵政省の前身である逓信省が作られた前島密や榎本武揚の時代まで遡るようです。

第101回国会衆議院本会議第24号昭和59年5月10日で、鈴木強議員は、通信事業が国営とされてきた経緯について下記の通り発言しています。

当時の先覚者榎本武揚先生や前島密先生の主張された、電気通信事業は公共性が極めて高いこと、都にひなにあまねく公平にサービスを提供すべきであること、通信の秘密は絶対に守られなければならないこと、電気通信事業は我が国の政治、経済、文化の先駆的使命を担うものであること、したがって本事業は利潤追求を目的とする民間経営にすることはできないとする先見性ある英知と勇断によって、この事業は政府がこれを専掌するということとなり、自来今日まで、実に星霜百十七年間、終始一貫国有国営ないし公共企業体として経営されてまいったのでございます。

第101回国会 衆議院 本会議 第24号 昭和59年5月10日

しかし、逓信省が創立された時代の通信の秘密は、果たして、現代の通信の秘密と同義だったのでしょうか。

また、通信事業を国営とすべき論理として使われた文脈にいう通信の秘密と、国家から国民の自由を保障する現在の憲法21条2項で保障された通信の秘密は、機能が全く異なる概念と思料されます。

つまり、事業を国営とする論理は国の権限を拡大する論拠となるものですが本来、憲法で保障された通信の秘密は国民の自由を保障する権利であるはずです。

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