保釈制度

保釈について

裁判所は、法定の要件を満たすことを条件として公訴の提起があったときから2箇月間、被告人を勾留する判断(決定)を下すことができます(刑事訴訟法60条1項、2項)。
勾留決定の執行中、被告人その他の請求権者は、保釈を請求することができます。
保釈の許可がおりた場合、保釈金を収めることで、被告人は勾留中でありながら、身柄を釈放されることになります(刑事訴訟法94条1項)。
勾留中であるにも関わらず、釈放されるのは保釈許可決定が存在するからであり、保釈が取り消された場合は、刑事施設に収容されることになります(刑事訴訟法98条1項)。

刑事訴訟法88条1項は,「勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。」とさだめています。保釈は,公訴提起の時から2か月,その後1か月ごとに更新される身体拘束手続きである(被告人の)勾留手続きが維持されている状態で,被告人を身体拘束から解放する制度で、日本の法律上は被疑者段階の勾留には適用されません。

保釈請求後,下記の事由がすべて認められないときは,裁判所は必要的に保釈をしなければなりません。

刑事訴訟法89条

保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一  被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
二  被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三  被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四  被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五  被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六  被告人の氏名又は住居が分からないとき。

また,上記の必要的保釈の場合にあたらなくとも,刑事訴訟法90条は「裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。」と定めていますので,職権で保釈が認められることがあります。